IPL治療
マイボーム腺機能不全(MGD)
近年、ドライアイの原因としてマイボーム腺機能不全が注目されています。
まぶたの裏側にはマイボーム腺という器官があり、涙の油分を分泌しています。
このマイボーム腺の出口(まつげの生え際にある開口部)が細菌感染などによってつまると、涙に必要な脂分が十分に分泌されず、涙の成分バランスがくずれて、目が乾きやすくなったり、涙目になったり、炎症が起きたりします。これをマイボーム腺機能不全(MGD)といいます。
涙は99%の水(液層)と1%の脂(油層)からなっており、最近の研究において、「脂が足りないタイプのドライアイ」がドライアイ全体の86%以上であるというこ とがわかりました。脂が足りなくなる最も大きな原因がこのマイボーム腺機能不全(MGD)と言われています。「脂が足りないタイプのドライアイ」は、点眼治療では改善しない場合が多いのです。
- 1)DEWS II report, Ocular Surface, 2017Lemp, et al. Cornea. 2012 May;31(5):472-8.
IPL(Intended Pulse Light)とは
当院では、マイボーム腺機能不全の治療としてルミナス社製の最新機種であるM22を用いたIPL治療を導入しました。
IPL(Intended Pulse Light)とはWhite Lightの1つでアークランプを応用したテクノロジーです。
アークランプから発した光が直接またはリフレクターで集光され、特殊フィルター介することにより特に皮膚に紫外線領域の光をカットし、可視および近赤外線領域の広いスペクトルをもちます。
この光をトリートメントヘッド先端から患部へ照射します。照射光は熱エネルギーに変換され皮膚内部に温熱効果をもたらします。
このIPLをマイボーム腺近傍に照射する事によって、マイボーム腺機能不全(MGD)の原因となるマイボーム腺の閉塞やその周囲の感染、それらに伴う炎症をターゲットに治療することが可能と考えられており、最新の国際的ドライアイコンセンサス(DEWSⅡ 2017)にもIPL治療は選択肢の1つとして組み入れられています。
※M22は美容皮膚科などで導入されている、美肌治療のフォトフェイシャル®のための治療機器でもあります。
- 1)Jones L. et al. Ocul Surf. 2017; 15(3): 575-628
治療費用
MGDに対してのIPL治療は、原則的に590nmのフィルターを使用し、3週間ごとに4回の施行をおすすめしています。
単回での施行も可能です。※保険外診療となります。
回数 | 価格 |
---|---|
1回 | 6,000円(税込) |
4回 | 20,000円(税込) |
- ※術前の適応検査は3,000円となります。
- ※クレジットカード(VISA・Master・JCB・AMEX)のご利用が可能です。
よくある質問
Q
治療間隔、治療期間は、どれぐらいですか?
A
治療間隔は、3~4 週間おきに、4回以上実施すると効果が高いというエビデンスがありますが、ドライアイの重症度と罹患期間によって治療期間が異なります。8回目で劇的に効果が出た患者様もいらっしゃいます。
Q
化粧はしていても大丈夫ですか?
A
IPLを照射する際は、お化粧は落としていただく必要があります。IPL 照射後は、すぐにお化粧をしていただけます。紫外線からの刺激を防ぐために、お化粧をしないで帰る方は、日焼け止めをお使いください。
Q
施術は誰が行うのですか?
A
看護師やスタッフが、冷却ジェルの塗布などの準備を行います。
初回の施術は医師が行いますが、その後問題がなければ、2回目以降は看護師が施術を行います。
Q
一般的な施術の流れはどのような感じですか?
A
メイク落とし → 冷却ジェルの塗布 → 施術 → メイク になります。
メイク落としから、ドライアイIPL治療のトータル時間は15分程度です。
Q
副作用はありますか?
A
ルミナス社が設定している基準値(日本人であれば 12 ジュール/cm2 からスタートし、14 ジュール/cm2 程度まで)を守って施術していれば、特に副作用はありません。基準値を超えたパワーで施術するときはやけどのリスクが高まります。
Q
白内障手術や、レーシック手術を受けたことがあるのですが、施術は可能ですか?
A
はい。可能です。手術前後にドライアイ治療をすることにより、手術の治療結果が良くなるという発表も海外で出てきました。
Q
美容整形をしたのですが、施術はできますか?
A
手術が終わり、炎症が完全に治まっていれば施術は可能です。ただし、美容インプラントなどを入れている場合は、推奨できません。
Q
施術時に痛みはありますか?
A
痛みは患者様の敏感度や日焼けの度合い等によって異なりますが、輪ゴムに弾かれた程度の痛みや刺激を感じる場合が多いです(色白の方が刺激を感じにくいと言われています)。麻酔は行いません。
※引用元:LIME研究会「M22 IPL よくある質問」より