ドライアイ診療
ドライアイとは
ドライアイとは涙の量が減ったり、涙の質が変化することによって生じる疾患です。ドライアイ研究会において、『ドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。』と定義されています。
日本では患者数が2200万人とされ、オフィスワーカーの60%以上がドライアイまたはその疑いがあると報告されています。
涙は泣いたり、目にゴミが入ったときだけに出るものではなく、常に目の表面を覆ってバリアのような役割をしています。また表面を涙でなめらかな曲面にすることで、きれいな画像を脳に届けます。涙は目の健康を守るだけでなく、快適な視力にも欠かせないものです。
ドライアイの症状
ドライアイの症状は様々で「目が乾く」という症状だけではありません。
下記のような症状があればドライアイの可能性があります。
当てはまるものがあればお気軽に相談してください。
ドライアイの原因
ドライアイの原因は、環境の要因が大きいと考えられています。現代の社会はパソコン、スマホやテレビなどのモニター画面に囲まれています。モニター画面は眼に入る情報量が非常に多くなり、そのためにまばたきが減少して眼が乾きやすくなります。また室内の冷暖房などのエアコンにより一年中室内が乾燥しがちです。さらにコンタクトレンズの長期・長時間装用や、夜型の生活、運動不足など、ライフスタイルの変化もドライアイの原因に関与しているといわれています。また、年齢によっても涙量の減少や安定性の低下が生じます。
涙の分泌は副交感神経(リラックスしたとき)に支配されており、交感神経優位(緊張時)には減少するメカニズムがあります。様々なストレスによって涙の分泌が抑制されることがあります。
まぶたの中にはマイボーム腺といって目の表面を覆う脂をだす腺があります。この脂は涙液の成分としてとても重要で目の表面の乾燥を防ぐ作用があります。このマイボーム腺が詰まってしまうマイボーム腺機能不全(MGD)という病態もドライアイを引き起こすことがわかっています。
その他シェーグレン症候群などの内科的疾患から起きるものや、目の表面の手術に伴うもの、服用している薬の副作用でもドライアイが生じることがあります。
ドライアイ検診
当院の最新ドライアイ・MGD診断機器である「Idra」を用いて詳細なドライアイの状態の検査が可能です。その結果を元にドライアイの診断基準に沿った形で病状を説明、 治療についての提案をします。
長年ドライアイに悩まされてきた方、また自覚症状がない方も、早期の発見・診断により快適な毎日に繋がります。
Idraでわかること
インターフェロメトリ | 涙の蒸発を防ぐ油層の厚みを測定します。 |
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瞬きの質 | 瞬きの状態を動画で撮影します。瞬きの回数や不完全な瞬きを検出します。 |
NIBUT | 目の表面の涙がどのくらいの時間で乾燥し始めるかを調べる検査です。 涙の質(安定性) を評価します。 |
涙液メニスカス | 涙液の量を定量的に評価します。 |
マイボグラフィー | マイボーム腺は涙の油層の成分を分泌する部分です。 詰まると油層の分泌ができず、涙が蒸発しすぐに乾燥してしまいます。 マイボーム腺を赤外線で高画質撮影し、詰まり具合の程度を調べます。 |
ドライアイ検診の流れ
1.問診
自覚症状についてお聞きします。
2.検査
- 視力、 屈折、 眼圧検査
- Idra検査
- シルマー検査
シルマー検査とは
涙の分泌量を調べる検査です。
下まぶたに目盛のついた試験紙を挟み、5分間おきます。試験紙が涙で濡れた目盛を読み取り、涙が正常に分泌されているかを調べます。
3.診察
生体染色検査を行います。
眼の表面の状態を観察し傷がないかを調べます。
4.結果説明
以上の検査結果から医師が総合的に判断し、結果をご説明いたします。
費用や時間について
ドライアイ検診は自由診療となります。
- 検査から終了まで60分程度かかります。
- 料金は4,400円 (税込)です。
治療の必要があると診断された場合は、後日当院にて治療を受けられます。
次回より保険診療となりますのでご了承ください。
ドライアイ検診をご希望の方は、お電話にてお問い合わせください。
ドライアイの治療
点眼
涙の成分は水だけでなく油(脂質)やムチンといった成分からなっています。点眼薬の使用によって涙液量を補充するだけでなく、涙液の質や安定性を改善させる目的で使用します。また眼の表面の角膜の傷を修復することを目的として使用することもあります。
ドライアイの種類や程度はとても様々です。所見だけでなく、自覚症状にあわせ、下記の点眼薬を組み合わせて処方いたします。
涙点プラグ
涙が排水される涙点を塞ぐことで涙液量を確保する治療です。
シリコン製のプラグと可溶性のコラーゲン製のタイプがあります。
涙点のサイズや適応を考慮して施術いたします。
温罨法(目を温めるケア)
目の周囲を温めることで、マイボーム腺のつまりを解除し、まぶたの血流を改善します。入浴時などに温かい濡れタオルなどで眼の周りを温めるだけでも効果があります。
また1回使い切りのものや電子レンジで温めて繰り返しつかえる専用のアイマスクもあり、当院にて取扱いがあります。
1日5分、朝晩の2回行えるととても効果的です。
リッドハイジーン(眼瞼清拭)
マイボーム腺の油の排出を促進し、固まってしまった脂や角化物のつまりを除去、およびマイボーム腺周囲を清潔にする目的で行います。
眼に入っても全くしみない専用の目元洗浄剤の取扱いがあります。
価格:2,200円(税込)
※上記使用方法はマイボシャンプー50のものですが、TeaTree1.0も同じです。
IPL治療
ルミナス社のM22によるIPL(Intense Pulse Light)治療は、マイボーム腺機能不全を改善する画期的な治療法です。
海外の学会でもその成果が続々と報告されており、侵襲が少なく効果が高いことから注目を集めています。
サプリメント
最近の研究で乳酸菌、ラクトフェリン、ω3脂肪酸(EPA・DHA)が涙腺の酸化ストレスを減少させることがわかり、涙液を増大させる働きがあることがわかってきました。
点眼治療に加えてこれら成分を補助的に摂取できるサプリメントもおすすめしています。
日常でできるケア
- 部屋の湿度に注意
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エアコンなどの空調で部屋が乾燥していると、ドライアイの状態を悪化させます。加湿器などを用いて、部屋の湿度を保ちましょう。
最近のオフィスなどは、1年中空調が効いた環境が多くなっています。乾燥している冬季だけでなく、夏季でも注意が必要です。
また、空調の風が直接目にあたるとさらにドライアイを悪化させます。風の向きにも気をつけるようにしましょう。
- モニターの画面は下向きにみる
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パソコンなどのモニター画面をみる機会が多い人は瞬きが減少し、ドライアイになりがちです。
モニターを長時間見る場合には、視線が斜め下になるように画面を設置し、目がなるべく開かない状態にすることでドライアイを予防できます。その他、意識的に瞬きを心がける、定期的に休憩時間をとるなどして目の負担を少なくするようにしましょう。